再読して感じる違和感
どうにも、最初に読んだときは陰惨ないじめとそれに対する痛快な復讐譚、と考えて読んでいたのだが、一旦全部知った上で読むとどうにも違和感がある。
小黒妙子はしょっぱな強烈な性悪女として描かれてるが、後ほど春花両親殺害には関与していない上に、実はいい人というのがわかる……というのが初回の読後感だが、再読してみると、いや、こいつ全然いい人なんかじゃないな。春花が相場に惹かれるのを嫌がっていたとはいえ上巻冒頭の靴隠しや、ゴミ溜めに春花の文房具投げ込んだり、下っ端に画鋲で春花への危害を加えるのを支持していたのも小黒だ。正直洒落にならんレベルだし、「私と自分で春花へ直接の暴力はなかった」とする佐山の言はなんの意味もなさない。自分に憎しみの矛先が向くのが嫌だったからか?
しかも、これが自分の好きな春花がDV男の相場に惹かれているのがいやだからって理由でやってんだから、飛んだクレイジーサイコレズだよ。
しかもそんなヤンデレさんを肝心の春花は許してしまう。最初は「そんなに自分と一緒に卒業したくないのか」という純然たるいじめを受けているという認識だったのに、突然許す。小黒は自分の家に火をつけるような人間ではないと確信していたようだが、冒頭のシーンのいじめされてよくそんな確信持ったままいられるなと呆れ返る。なんなの。キミら相思相愛なの?
結局のところ、小黒妙子による野崎春花いじめはいじめでも何でもなく、高度なプレイの一種と考えられる。ところが、周りの連中はそれを本気のいじめだと勘違いしてしまった。
そしてそれが結果として野崎家の放火へ至り、春花復讐の対象になってしまったと。
一番のピエロは久賀よな。思いを寄せてた妙子は転校生大好きのレズだったという。
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