田辺剛「闇に這う者」
なんとなく作者の「描き直したい」って言ってる気持ちも分かる気がする。
- 作者: 田辺剛
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / エンターブレイン
- 発売日: 2016/03/25
- メディア: Kindle版
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ダゴン
海で遭難した男が隆起した島に漂着。ガメラにあったような石碑を見つけて、結果的に「窓に!窓に!」する話
これまでの田辺剛作品は「神殿」とか、「無名都市」とか「宇宙からの色」とか。キャッチーなのよりむしろ地味でなおかつ描写力の試される代物が多かった気がするのに、
ここに来て誰でも知っててなおかつ有名な物を出してきた。
「わかっている」感が無くなって大衆に迎合しだした感が。
いやもう「窓に!窓に!」って「TRPGでクトゥルー神話知ったけど、ラヴクラフト読んだことないってやつ」とか「そんな奴らが何か茫々で布教しまくった結果「クトゥルー=窓に!窓に!」という認識でいる連中」の受けを狙ってるとしか思えない安っぽさがありますよね。
これ入れると真面目にやってる感じなくなってネタに走ってる感じがするからあんまやって欲しくなかったな。
言葉なしで描写してほしかった
闇に這う者
クトゥルー神話でも有名なナイアルラトホテプが登場する有名な作品。
それまでも有名ではあったけどニャル子さんとか言うゴミのお陰で知名度は不動のものになってしまった。ここらで出してきたのもやはりそういう事なのだろう。
なんというか、性急すぎん?
なんか、「異次元の色彩」をあれだけ丁寧に丁寧に書いてたのに、それ以上に分量のあるこれをこのページ数で良いのだろうか?
なんとなく文章多い感じだしね。「異次元の色彩」みたいに文章の描写をうまく絵に置き換えてるという感じがあまりしないというか…
特にクソ漫画ばかり出してるPHP研究所の『ニャルラトホテプ』の「闇をさまようもの」がそこまで出来が悪くなかったせいでそう感じるのかもしれない
- 作者: ハワード・フィリップス・ラヴクラフト
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2011/12/17
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輝くトラペゾヘドロンも登場する。phpでは六角柱みたいな感じだが、こっちは扁平的な宝石。
まあ、偏方多面体なんでなんとでも。マリオノールゴーレムではまた違ってたし。なんか、これって言う形あるのかな。
なんというか全体的に知名度優先で、中身はあんま吟味してない感じがしますね。
「宇宙からの色」が本当に丁寧に丁寧に漫画にしてて傑作だっただけに、がっかり感は否めない。
そうね、田辺剛の漫画は、なんというか、TRPGのクソみたいなイメージで語られてしまうラヴクラフト小説を、本来あるべき姿として描写していると言ったら良いのか。それこそが田辺剛の漫画の醍醐味(PHPはTRPG寄り)と思っていたから、こういうTRPGゲーマー向けのターム出されるとなんかガッカリした気分になる。
なんとなく作者の「描き直したい」って言ってる気持ちも分かる気がする。