『いきている首』アレキサンドル・ベリヤーエフ
生き返ったのなら、死んでいなかったのだろうさ
- 作者: アレクサンドルベリヤーエフ,琴月綾,馬上義太郎
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2003/10/15
- メディア: 単行本
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初出は「バーナード嬢曰く」1巻のあとがき。過去に「合成人間ビルケ」と言うタイトルで出ていたもの。
- 作者: ペリヤーエフ,井上洋介,馬上義太郎
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 1976/01
- メディア: 単行本
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キモいというか怖い表紙。これで読んでみたいと思う子供がどれだけ居るのか。なぜもっとコミカルにしないのだろう。
ちなみにこのウェイトリー兄弟の弟の方みたいな奴はビルケではない。ビルケは実験に使われた元踊り子の方
一回タイトルだけ「いきている首」に変わって、その後には表紙も挿絵も変わった模様。
自分も過去に読んだことはあるハズだがタイトルはどちらだったか覚えてない。もう完全に原題の意味に近いタイトルの「ドウエル教授の首」で覚えちゃってて、過去に読んだ時どんなタイトルだったか覚えてないんだよね()。ほんとうに読んだのか?
- 作者: アレクサンドル・ベリャーエフ,原卓也
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1969/01/27
- メディア: 文庫
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ちなみに元タイトルの「ビルケ」は新版の挿絵ではこうなっております。
あらかわいい
ビルケは踊り子で、死んだ後ケルンによって首だけ培養される人。その後ケルンから新しい体与えられるが、結局足から腐り落ちてしまう。
と言うか、首と他人の身体繋げただけで「合成人間」ってのは無理あるやろ…
ストーリー
主人公のローランは就職難からケルン博士の助手として働く事になった。ところが、そのケルンの研究室で出会ったのは、先日死亡が報道されていたドゥエル教授……の首だった。なんとローランの仕事はドゥエル教授の首の世話だった。喋れないドゥエル博士の首を世話していくうちにドウエル教授の死の真相とケルンの野望を知るローラン。しかしドウエル教授の研究を完成させたいという熱意に説得され、そのままケルンの研究を手伝うことになる。
そしてある日踊り子ビルケの遺体が運ばれてくる。頭部に損傷のない綺麗な死体だったことからケルンは早速首だけを切り離してドウエル教授と同じように培養を行う。
ケルンの次の実験は人間の胴体と頭部を繋げて一つの人間を創りだすというものだった。
ビルケにぴったりな胴体を入手すべく死体安置所巡りを繰り返すケルンだが、目当ての死体は見つからない。そんな時列車事故が起き、おあつらえ向きな死体が手に入る。ケルンは早速手術を行い、ここに合成人間ビルケが誕生したのだった。
流石に嫌になったローランは病院を辞めようとするが、ドウエル教授の首の真相が暴露されることを恐れたケルンにより精神病院に隔離されてしまう。
一方ビルケは新しい体を手に入れたあと病院から脱走。行方知れずとなる。
(続きは本編で)
感想
うーん。前のと比べて突っ込みどころ多いな。免疫抗体の話とかどうなってんだろ。そんなに簡単に人間の首を生かせられるのか?
相当面倒くさい気がするんだが。手足切り離して胴体だけとかならともかく、首だけとなるとねえ。脳に必要な栄養やら何やらかんやらを生成する必要が。後は老廃物とか。そこら辺大丈夫なのかね。
ちなみにちょっと前に、脳死した人間の身体に全身麻痺の人の頭部を繋げる手術を行うみたいなニュースがあってたんですが。
医学ジャーナリストが指摘する「頭と他人の体の結合手術」の問題点
150人以上のスタッフが必要で、手術時間は36時間に及ぶ。費用は1500万ドル(約18億円)とも
しかも成功確率がかなり低い。
こんな難しい手術を一人でやるなんてケルン、やはり天才か……。
まあ、世界観的に相当未来の話なんでしょうなぁ
「死人を生き返らせる」みたいな表現してるけど、今の基準から言ったら正直生き返ったということは単なる仮死状態だったって事になるよねぇ。単に蘇生しただけ。心肺停止状態から蘇らせるなんてことは全国の病院でも行われているだろうし。法的に死体にはなってはいないと。
ふと思ったんだが、ロボコップと状況的には似てるかも知れんね。
ちなみに海野十三が似たような短編を書いていて、こちらは人間の首に犬の胴体くっつけて生き返らせるとか言う、ええ……何それ……な感じの話でしたね
倫理的にやべーだろと思うような研究だけどソ連の連中ならやるだろうなとなんか妙に納得できる感じでしたね。ちなみに暴露された後のケルンの偽装工作がかなり雑。
ド嬢の2巻読んでやる気無くしたのでド嬢に影響受けて読んだ本はこれにて終了。
ちなみにこの創元SF文庫のやつは100円で買ったんだが、Amazonだとなんか値上がりしてるねぇ…(遠藤並)
- 作者: アレクサンドル・ベリャーエフ,原卓也
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1969/01/27
- メディア: 文庫
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- 作者: アレクサンドル・ロマノヴィチベリャーエフ,田中隆
- 出版社/メーカー: 未知谷
- 発売日: 2013/12
- メディア: 単行本
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